使い方
- 名目リターンに、運用商品の年あたりの利回り(税引き前、物価上昇を考えない数字)を入力します。
- インフレ率に想定する物価上昇率を、リターンにかかる税金に利益にかかる税の割合を入力します。NISAなど非課税の口座なら0です。
- 投資元本と年数を入力します。
- 年間の実質リターンを確認し、将来の金額と、今のお金に換算した金額を見比べます。
名目利回りと実質利回りの違い
名目利回りは、口座の明細に載る数字です。実質利回りは、物価の上昇を差し引いたあとに、買える量がどれだけ増えたかを示します。年5%で増えても物価が年2%上がれば、買える量の増え方は約2.9%です。
実質利回り = (1 + 名目利回り × (1 − 税率)) ÷ (1 + インフレ率) − 1- 名目利回り = 税引き前、インフレ前の年利回り
- 税率 = 運用益にかかる税の割合(20%なら0.20)
- インフレ率 = 年間の物価上昇率
- 実質利回り = 購買力の年あたりの増え方
このツールは、まず運用益から税金を引き、そのうえで物価上昇率で割る「フィッシャー方程式」の形で計算します。単純に引き算するより正確で、利回りが高いほど差が開きます。
例:100万円を20年間運用
名目利回り5%、インフレ率2%、非課税の口座で計算します。実質利回りは2.94%です。20年後の資産は2,653,298円ですが、今のお金に換算した価値は1,785,593円です。
同じ条件で運用益に20%の税がかかる場合は、税引き後の利回りが4%になり、実質利回りは1.96%です。20年後は2,191,123円で、今のお金の価値は1,474,563円になります。
物価に負けるケース
名目利回り0.5%で、インフレ率が2%の場合を考えます。実質利回りは−1.47%です。20年後の資産は1,104,896円に増えますが、今のお金に換算すると743,563円です。金額は増えても、買える量は減っています。
インフレ率が4%まで上がり、名目利回りが5%のままなら、実質利回りは0.96%まで下がります。物価の想定を変えて何度か計算し、計画がどこまで耐えられるかを確認してください。
結果の使い方
老後資金など長期の目標は、今のお金の価値で考えると判断しやすくなります。たとえば「今の物価で月20万円」の暮らしを目指すなら、将来の名目額ではなく、実質ベースで必要額を決めます。
実質利回りを守るための工夫
- NISAなどの非課税制度を使い、運用益にかかる税の負担を減らす。
- 信託報酬などのコストを抑える。長期での影響は信託報酬シミュレーションで確認できる。
- 使う時期に合わせて資産を分ける。近い将来に使うお金は安全性を、遠い将来のお金は物価を上回る成長を重視する。
- 年に一度は、物価や金利の変化に合わせて計画を見直す。
計算の前提と限界
利回り、インフレ率、税率は、期間を通じて一定だと仮定しています。実際の市場は年ごとに上下し、税のかかり方も口座や商品で異なります。運用益への課税は、毎年の利回りに税率をかけた形で簡略化しています。結果は将来の予測ではなく、考え方を確認するための試算です。
よくある質問
実質利回りの計算方法は?
(1 + 税引き後の名目利回り)を(1 + インフレ率)で割って、1を引きます。利回りが低い場合は、名目利回りからインフレ率を引いた値でも近い数字になります。
実質利回りが名目利回り−インフレ率とずれるのはなぜですか?
物価の上昇は、増えた分の価値も目減りさせるためです。正確な式は引き算ではなく割り算で、利回りが高いほどずれが大きくなります。
実質利回りがマイナスだとどうなりますか?
口座の金額が増えていても、買える物の量は減っています。預金などの低い利回りでは、物価が上がる局面で起こりやすくなります。
インフレ率は何%で計算すればよいですか?
長期の平均として妥当だと思える数字を使います。日本銀行の物価目標や総務省の消費者物価指数を参考にして、少し高めの値でも試してください。